作家の角田光代さんのエッセイ”わたしの容れもの”の一話にぎっくり腰についての話があります。ぎっくり腰の痛みをあらわす単位をズンと名付け、初めてのぎっくり腰は50ズンだそうだ。この時は改札で急に振り向いた際になったぎっくり腰で、記述では翌日に自分でそろりそろりと病院に行っているので、比較的軽めです。
しかし、数ヶ月後、階段を踏み外し落ちて腰を痛めた際は始め100ズンでどんどん悪化して終いには600ズンになっている。それでもまだ歩いて医者に行けているからすごくガッツがある。私のぎっくり腰は立ち上がることすらできない激しい痛みなので990ズンぐらいだと思う。
ぎっくり腰と一言で言っても、腰痛レベルの場合と椎間板ヘルニアの場合では痛さに相当に開きがあると思う。”127時間”という映画を観たことがある人は何となくイメージが掴めるのではないでしょうか。主人公は生きて帰るために自分の腕を切り落とそうとするのですが、この時ピローンと神経の線が現れるのです。これに少し触れた瞬間、絶叫するシーンが強烈です。確か失神していた。つまり神経に触れるということは10000ズン級の痛みなのです。
椎間板ヘルニアは腰椎のところで何かが神経を圧迫している痛さなので、簡単に1000ズンの痛さに達します。こう言った痛みは他人に痛さが伝わらないので、本当に辛いし仮病と思われそうでひっそりと隠れたい気持ちになります。腰以外は本当に元気で退屈でもあります。ただずっと横になっていると病気のような気持ちになってきますから、なるべく普通の生活を送ったほうがいいですね。
痛みがあまりひどいとブロック注射を勧められることもあります。ブロック注射に否定的な医者もいたりするようですが、それぞれですね。痛くて堪らないから何だってやって頂戴という気分です。
初めて私がブロック注射をした時はあまりの変化にびっくりしました。うめきながらなんとか整形外科にたどり着いたのに帰るときは全く普通に歩いて帰りましたから。その後も何回かこの注射を受けたのですがこれほど効果的だったのは最初の時だけでしたね。
腰椎は5個の腰椎のセットで構成されているのですが、この5個のうちどこが悪いのかは足の指を調べると分かるのです。こんな感じで診察されます。仰向けに寝転がって足の方に医師が立って足の指を引っ張るからそれに抵抗してくださいと言われます。足の親指から順に指を下向きに引っ張られます。普通はグッと抵抗して指を元の位置に戻せます。ところが特定の指に来た時、抵抗できないのです。全く力が入らない。引っ張られるままです。医師は第何腰椎のところが悪いですね!というのです。えー、そんなところで繋がっているの!?人間の体の不思議を知った瞬間でした。
ブロック注射は腰のあたりに注射されることが多いですが、尻尾から打つこともあるのですよ!
しっぽつまり尾てい骨の先端から注射しているのだと最近まで思っていたのですが、どうも正確には尾てい骨の付け根の仙骨というところから注射していたようです。尻尾の先端から背骨まで穴が繋がっているんだ!そうか!すごいなぁなんて勝手に思っていました。ワハハ。
ブロック注射は麻酔液を神経の周りに満たしてやる注射なので、注射している時は変な圧迫感があります。まさに液体で狭い空間が満たされていくような感覚です。ちょっと気持ちが悪い感じです
ブロック注射が最高に効果がある時は990ズンだった痛みがほぼ0ズンになりますが、何回もやっていると0ズンにはならなくなってきました。それでも10〜30ズン程度になりますので普通の生活が送れます。湿布のほうがましですが痛み止めの飲み薬なんて全然効きませんので、一刻も早くなんとかしなければというときはブロック注射は絶大な効果があります。4日間寝ていられるならそれでタダで治りますけどね。私の場合は病院が遠いので、寝て治します。
二足歩行になって背骨に負担がかかるようになった人間の宿命みたいな腰痛。日頃から腹筋、背筋を鍛えて備えましょう。