Categories: ジオパーク

おおいた豊後大野ジオパーク/大分県豊後大野市

ジオパークは地球を感じる自然公園。悠久の歴史と雄大な風景を楽しめるエリアです。それゆえ行動範囲が広いのです。e-自転車が活躍します!

九州にはジオパークが9ヶ所指定されています。今日はそのうちの一つ大分県豊後大野市の「おおいた豊後大野ジオパーク」に向かいます。ここは2013年に登録された比較的新しいジオパークです。

ジオパークには資料室とか展示室などが用意されていることが普通です。そこで資料を見てからどういうルートで回るのがいいのかとか今回はこのエリアを中心にしようとかの方針が決めやすいのです。

で出発前に調べるわけですが、、、見つからない。

”大分県 ジオパーク 資料館”などのキーワードで検索しても何故かピンポイントで結果が出てこない。(後日、再度”おおいた豊後大野ジオパーク 資料館”で検索したら出てきました。)

正式な名称を知っていればもちろん見つけやすいけど。これだとなかなか分からないな。

おおいた豊後大野ジオパーク 公式サイト

お目当ての資料館をなんとか探し当てるとそこは豊後大野市三重町の市庁舎近くの市立図書館内にあると言うことでした。

公式サイトの一番下にあるジオパーク推進協議会というところが運営しているようで、それは市役所の商工観光課の所属なのであります。折角、綺麗なサイトを用意してるのだからもうちょっと旅人目線でサイトの構成をしてもらいたいものです。サイトは動的で凝っているけど、サイトの写真で満足したいのではなくて、直接行きたいのだからね!

ではレッツゴーです。

資料館入り口には大分県生まれ東京芸大卒の彫刻家 佐脇健一氏の彫刻が展示してありましたが、休憩用テーブルに隠れてしまっていた。ちょっとずらして、パチリ。

私はこの方の彫刻がすごく好きなのですよ、昔から。鉄を使った彫刻で、錆びの感じがとても雰囲気の良いオブジェです。

もう少し展示方法について検討すればいいのにねぇ

大分の彫刻家には朝倉文夫やその娘の朝倉響子の名前がよく出てきますが、佐脇氏もかなり有名な彫刻家です。豊後大野市朝地町にはその朝倉文夫記念館がありまして色々な彫刻が楽しめます。

豊後大野ジオパーク資料館

今回はこの”おおいた豊後大野ジオパーク 資料館”の紹介で終わってしまいそうなぐらい盛りだくさんの良い展示でした。完成したばかりのようで綺麗で落ち着いた雰囲気の中じっくりと見て回ることができます。もちろん無料です。

おおいた豊後大野ジオパークの特徴を一言で言えば、「阿蘇山大噴火」ということになります。これには遠く島原半島も影響を受けています。そしてその大元が阿蘇山です。その噴火張本人の阿蘇山とその周りの豊後大野とでは影響の様子が異なります。豊後大野では火砕流とその堆積そして水による侵食がこの地方独特の景観を生み出しています。

火砕流という言葉は雲仙・普賢岳の噴火の時に一躍注目された言葉でした。そしてその映像は衝撃的なものでした。火山の噴火による噴出物が時速100kmを超えるスピードで斜面を下ってくる。人間が到底逃げられるような速度ではありません。普賢岳よりはるかに巨大な阿蘇山の噴火の際は一体どんなものだったのでしょうか。

おおいた豊後大野ジオパークを理解するキーワード

この地方を理解するのに必要な知識として「溶結凝灰岩」「大野川層群犬飼層」というキーワードがあります。他にも色々と地球科学的な用語がありますが、まずこの二つを頭に入れておけば”おおいた豊後大野ジオパーク”は興味を持って楽しめます。

溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)

噴火によって何度も堆積した火砕流堆積物の地表にさらに大きな噴火による新たな火砕流が覆い被さると、元の堆積物も熱によって溶けてしまいます。これらが一体となった後、徐々に冷えていく過程で柱状に結晶化した岩石が生成されます。

物凄い圧力が加わっているので、中に含まれる軽石が押し潰されています。平らな黒い模様(軽石)が石の中にあります。

これが溶結凝灰岩またはその形状から柱状節理と言われます。鉛筆を手で束ねて持った様な形状です。膨大な数の大きな鉛筆が地面に立ててあると想像して見るといいです。この束は一本づつの鉛筆に分かれやすい性質を持っています。

黒いスジ状の模様が軽石(溶結レンズ、黒曜石)流れで削られてレンズ状の穴が空いていることもある
柱状節理

大野川層群犬飼層

大野川層群というのは海のマントルの動きに起因した岩石の層です。太古の海の底の話です。マントル対流というのは学校で習いましたね。マントルが動いてぶつかるとどちらかのマントルが下に入り込んで、その反動が地震につながると習ったと思います。

マントルによって大陸の底の裏側に押し付けられた岩石層が気も遠くなるような時間を掛け積層してきたものが露出したのが大野川層群です。1億年も前の白亜紀からのことです。ですから非常に古い地層です。海由来の地層なので、アンモナイトなどの海の化石を含んでいます。この地層が大野川流域には数多く見られます。巨大なパイ生地のような岩石が斜めに露出しています。

大野川層群の上に溶結凝灰岩がゴロゴロ乗っかっている

これで十分ですね。もちろん ”おおいた豊後大野ジオパーク 資料館” に行けばより深い知識が得られます。でもこの二つのキーワードを知っていれば直接ジオパークに行っても興味深く壮大な地球の神秘を味わうことができます。ジオパークは一度見学したぐらいではその奥深さに届きません。なにしろ地球が相手ですから。何十億年という時間を垣間見る作業なのです。

地球を感じるというのは本当にワクワクするものです。ぜひ訪れてみてください。

原尻の滝 柱状節理が剥がれ落ちて特徴的な切り立った大小の滝が至る所にあります

原尻の滝は道路沿いの呆気に取られるぐらい気軽に行ける場所にある為、観光客も多いです。滝もなかなか迫力ある良い滝です。駐車場も広く、店もあるので休憩がてらゆっくりできるポイントです。

沈堕の滝 雪舟も水墨画を描いたとされる滝

この滝は哀しい滝です。明治期に水力発電の取水のために滝に手が加えられてただの岩壁になっていたのです。大分・別府間の路面電車用の電力ということらしいですが、イケイケのそんな時代ですね。ここが復活したのはなんと1996年ということでごく最近になって復元されたのです。

沈堕の滝 発電所跡 ナウシカ的な廃墟感がいい感じです

発電所跡は思ったより小さいと思いますが、独特の雰囲気がいいですよ。

沈堕の滝 駐車場

最も近い駐車場は導入路の幅が狭いです。5ナンバーまででしょう。それほど遠くない手前の駐車場の方が気が楽です。

kazzt

旅に出よう。旅に出たい。旅に出るべきだ。その時その時によって心持ちは違うが、何かしら理由をつけて旅立つ。遥か遠く外国にまで足を伸ばすこともあれば、自宅からほんのわずか、気になる裏道に入り込んでもみる。メーテルリンクの”青い鳥”やパウロコエーリョの”ベロニカは死ぬことにした”でもないが求めているものはとても身近なところにあることに気がつく。だからe-自転車(電動アシスト自転車)を車に積み込んで小さな旅をすることを続けたい。もちろん普通の自転車でもいいんです。ただもう歳をとってしまった。坂道を登る辛さに耐えて成す達成感よりも目的の地と心地よく流れていく風景を楽しみたい。だが若い奴はゼーゼーしながら行きたまえ!!

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kazzt

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