同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬著

15時間34分

2022年2月24日ウクライナにロシアが侵攻した。このタイミングで第二次大戦の前哨戦独ソ戦争時のロシア女性狙撃兵の物語「同志少女よ、敵を撃て」が出版されるとは。

未だ戦闘が続くこの国での戦闘の有り様に胸が痛い。この物語はロシアに組み込まれたウクライナ女性兵士の半生を描いているが、大半は戦闘に関する技術教育や戦闘シーンである。ロシア兵の残虐性は日露戦争の語り部が伝えるところと相違ない。戦争においては女性は特に戦争犯罪の悲惨な被害者となる。この本では最も悪いのはドイツであり、ナチスということで話は進みますが。

コサックというのはウクライナの正義と同義の意味ととってもいい。ゼレンスキーも言及している。ひとつの共同体であり戦闘集団であり自由を求める民ということらしい。そのコサックはこの戦争時のロシア支配下では蔑まされていた。それゆえ奮起して狙撃技術を高めていく兵士も描かれている。

狙撃兵というのは素質のある兵を高度に訓練することで完成されていくのです。弾道、初速、角度、風速、温度様々な条件を瞬時に頭の中で計算し、たった一発で勝負を決める。外せば逆に反撃され狙われる。しかも、状況を的確に判断し、殺気を殺し、息を潜めて狙える場所まで移動もしなければならない。ひとつ所に留まることは死を意味する。

表紙がなんとも少女漫画っぽくて、なかなか手が出なかったのですが、いやいや読み応え、聞き応えのある本でした。明らかに表紙のイラストで損をしてます。

勇敢な狙撃兵にお星様あげちゃいます!

★★★★☆

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